2cmという仕様値だけでは、ナオの家の段差を一括判定できません。断面と越えた先を見て、安全な一か所だけを試します。
最初に「越える試験をしない段差」を分ける
測る前に、段差の先を見ます。階段、玄関の落下部、浴室や水場、屋外、火気や危険物がある場所は、越える能力を試しません。説明書どおりの物理的な対策や進入禁止区域を使い、運転範囲の境界にします。
敷居を越えた直後に別の段差がある、扉が閉まる、細い通路で旋回できない場所も、単純な高さ試験には向きません。ロボットが一度通れたとしても、安全に戻れる経路がなければ対象外です。
段差カードへ五つを一組で書く
定規や巻尺を使い、段差ごとに一枚の記録を作ります。建物を加工したり、機械を段差へ押し付けたりする必要はありません。
| 記録欄 | 見ること |
|---|---|
| 高さ | 低い床から最高点まで。左右で違えば両方 |
| 角の形 | 垂直、丸み、斜面、溝を挟む二重段差 |
| 手前 | 本体が正面から近づける直進空間と床の滑り |
| 越えた先 | 着地できる奥行き、旋回、次の段差、扉 |
| 装着状態 | 乾式、モップ・タンク装着など、実際に使う状態 |
リツの「同じ2cmでも、壁のような角と坂のような角では入口が違います」は、数値を形から切り離さないための合図です。段差の両側で床の高さが異なるため、行きと帰りも別の条件として扱います。
メーカーの最大値は、候補を絞る入口にする
メーカーは特定の製品について越えられる最大高を案内することがあります。ただし、その数字は記載された機種や試験条件の情報です。自宅の段差の角、進入角度、床材、車輪の状態、モップなどの装着物まで同じとは限りません。
まず手元の機種の取扱説明書と公式サポートを確認します。自宅の実測値が案内の範囲を超える、条件が書かれていない、装着状態が異なる場合は、試験で限界を探らず境界にします。「最大2cm」と「2cmなら毎日越えられる」は同じ意味ではありません。
安全な場所だけ、低い側から両方向3回試す
危険先がなく、説明書の条件内と確認できた段差だけを、在宅中に短い範囲で試します。初回は低い側から正面に近い向きで開始し、手で押したり助走を付けたりしません。次のどれかが起きたら、その場で停止します。
- 底面、モップ、タンクが強く擦る、引っかかる
- 車輪が空転し、同じ場所へ繰り返し当たる
- 本体が傾いたまま乗り上げる
- 段差や床材が動く、傷む
- 越えた後に旋回・帰還できない
問題がなければ同じ向きで3回、反対側からも3回確認します。モップを日常的に使うなら、説明書が認める装着状態でも別に記録します。運転モードや装着物を混ぜて一つの成功回数にしません。
越える・条件付き・境界の三つへ分ける
判定は一回の成功ではなく、日常の往復で決めます。
| 判定 | 条件 | 運用 |
|---|---|---|
| 越える | 両方向3回で接触・空転・人の介入がない | 現在の装着状態と経路で一部屋運転へ入れる |
| 条件付き | 乾式だけ、片方向だけなど結果が分かれる | 対応するモード・区域を限定し、境界を設定する |
| 境界 | 強い接触、乗り上げ、再現しない、先が危険 | 自動では越えず、部屋を分ける |
境界にした段差は失敗ではありません。複数階・別室へ本体を運ぶ運用のように、人が停止状態で移す方法へ切り替えられます。勝手に動く簡易スロープや扉を妨げる加工を足す前に、建物と製品の条件を専門窓口へ確認します。
一週間は、同じ判定が続くかを見る
通過にした段差も、最初の一週間は在宅で観察します。床の湿り、敷物のずれ、車輪の汚れ、斜めからの進入で結果が変わることがあります。毎回の向き、装着状態、接触音、人が助けた時間を短く残します。
ラグやマットの端は固定された敷居ではなく、形が変わる段差です。ラグ端と毛足の確認へ分けて扱います。同じ場所で一度でも強く乗り上げた、繰り返し空転した、底面を擦った場合は、成功回数が多くても境界へ戻します。
段差測定の目的は、機械の限界を見つけることではありません。毎日、人が助けずに安全な往復ができる範囲と、最初から越えない範囲を決めることです。