床が狭いほど導入が簡単とは限りません。ナオは面積より、毎回動かす物とドックが占める場所を測ります。
最初に、手作業なら何分かを一度だけ測る
ワンルームや狭い部屋は清掃面積が小さくても、椅子、収納箱、寝具、コード、食事の場所が同じ床を共有します。「狭いからロボットならすぐ終わる」「狭いから手作業で十分」のどちらも、部屋を見ずには決められません。
まず普段どおりの方法で、同じ床を掃除する時間を一度測ります。机下、ベッド下、床中央などに分け、腰を曲げた、家具を持った、ほこりへ触れた場所にも印を付けます。この時間と身体負担が、ロボット運転との比較基準です。
ドックは本体ではなく、余白を含む家具として測る
本体が収まる隙間だけでは足りません。帰還する前面と左右、袋やタンクを外す上部、しゃがむ人の場所、常時使う電源までを、一つの占有面積として床に置きます。必要寸法は機種ごとに異なるため、取扱説明書から写します。公式の配置案内でも、平らな床や周囲の余白などが示される例がありますが、別機種の数字を流用しません。
候補地では次を確認します。
| 見る場所 | 合格条件 |
|---|---|
| 人の通路 | 体を横にせず通れ、避難や扉の開閉を妨げない |
| ロボットの帰還 | 椅子や収納扉が普段の位置でも正面へ戻れる |
| 手入れ | 本体を毎回引き出さず、ふた・袋・タンクを扱える |
| 電源 | コードが人とロボットの通路を横切らない |
一つでも満たせないなら、見た目よく隠せても常設場所にはしません。ドック候補地の六条件で3回帰還まで確認します。
動かす物の個数と、開始までの分数を3回測る
運転前に椅子を上げる、収納箱をベッドへ置く、寝具を寄せる、コードを拾う、といった動作を一つずつ数えます。開始ボタンを押すまでの分数を、別の日に3回測ります。特別に片づいた日だけを基準にしません。
| 記録 | 例 |
|---|---|
| 動かした物 | 椅子1、収納箱2、充電線1 |
| 準備時間 | 4分 |
| 動かせなかった物 | 重いベッド、満杯の収納 |
| 戻す時間 | 3分 |
大きな家具を毎回動かす、収納を積み直す、ベッド下を見ないまま運転するなら、その範囲は自動化に向きません。コードが多い場合は床へ戻さない三つの定位置を先に作ります。
全床ではなく、身体負担の大きい一区域へ絞る
狭い部屋では、床中央の短い掃除まで機械へ渡す必要はありません。ベッド下、奥行きのある家具下など、手作業では腰や膝の負担が大きい場所だけを一つのミッションにできます。反対に、物を移動しないと入れない机周りは人の担当として残せます。
部分利用では、対象区域までの往復経路も必要です。ベッド下だけを指定できても、そこへ行くまでのコードや敷物で止まるなら実装できていません。区域指定、進入禁止、複数地図などが使えるかは機種の説明書で確認し、対応しない機能を前提にしません。
ナオの「床が狭いから簡単、ではなく、床を空ける回数が多いかもしれない」は、この切り分けです。全床自動ではなく、負担の大きい一動作が減れば候補になります。
一週間は、人が関わった時間だけを足す
在宅中に一区域から始め、準備、停止・救出、運転後のごみ捨て、ブラシやセンサーの手入れ、動かした物を戻す時間を記録します。機械が動いている時間は、その間に別のことができたなら人の負担へ足しません。
正味で戻った時間 = 手作業の基準時間 − 準備 − 救出 − 手入れ − 元へ戻す時間
手入れが毎週・毎月に分かれる場合は、手入れ時間の週予算へ渡します。時間差が小さくても、ベッド下でかがむ回数やほこりへの接触が減ったなら、別の便益として記録します。
導入・部分利用・見送りを同じ表から選ぶ
一週間後、次の三つから選びます。
| 判定 | 状態 |
|---|---|
| 導入 | ドックが通路を妨げず、正味時間と身体負担が改善し、救出が続かない |
| 部分利用 | 一区域では改善するが、全床では家具移動や停止が増える |
| 見送り | 常設場所がない、大きな家具移動が必要、手作業より負担が増える |
見送りは失敗ではありません。床中央は短い手作業、ベッド下は柄の長い道具、定期的な家具配置の見直しなど、機械を常設しない方法へ戻せます。引っ越しや家具変更で条件が変わったときに、同じ表でもう一度判断できます。
狭い部屋で見るべきなのは畳数ではなく、ドックという家具を置いた後も暮らせるか、掃除の前後に人の仕事がどれだけ残るかです。